GINZA SIX 2024 Summer 「SWING JAZZ UNDER THE SEA」
日本人にとっては身近な食材である海藻が近年「未来食」として注目を浴びています。
食物繊維やミネラル、ビタミン、タンパク質、うまみ、抗酸化物質を多く含み低カロリーである海藻は、
健康や美容志向の人々に”スーパーフード”と呼ばれています。これまで海藻を食べる習慣の無かった
欧米のオーガニック・スーパーでも扱われるようになり、この20年余りで世界の海藻の消費量は約3倍に増えています。
肥料や農薬を使用せずに一年中収穫でき手頃な値段で手に入る海藻は、
WWF UKが食品会社Knorと協力して選出した「Future Foods 50」にランクインするなど、
増え続ける世界の人口に対し、将来的な食料安全保障への貢献も期待されています。
ベーコンの風味をつけた海藻など、フードテクノロジーにより、代替肉の原料とする研究も始まっています。
海洋の植物である海藻は、陸上の植物と同様に光合成によって二酸化炭素(CO2)を吸収します。国連環境計画
(UNEP)の報告書で、陸上の森などで取り込まれる炭素、「グリーンカーボン」に対し、海藻など海洋生態系に
取り込まれた炭素を「ブルーカーボン」と命名し、地球温暖化に歯止めをかけるため「ブルーカーボン」にも期待が
集まっています。海中酸素の生産の約半分を担い、海洋生態系を保全・再生すると言われる海藻は、
SDGs持続可能な開発目標の14番目、「海の豊かさを守ろう」の達成にも、大きな役割を果しています。
歴史的にも長く多様な海藻の食文化を持つ日本の各地から、食材として流通している海藻を集めて押し葉にしました。
彼らが波に身を任せてスウィングしていた海中の姿を思わせる流線型のフォルムと、光を受けて透ける色に
美を感じます。海藻とともにある豊かな未来を、このウィンドウから思い描いて下さい。
アートディレクター 佐藤寧子