GINZA SIX Spring 「胃袋の旅」
自由な旅を憧憬する日々が続きます。今回のB2Fショーウィンドゥは恐竜の胃袋を想い、太古への
時空を越えた空像の旅をテーマにした、アーティスト下田昌克氏によるインスタレーションです。
近年発見された、1億1000万年前に生息したノドサウルスと呼ばれる草食恐竜の化石の胃の中
から、花粉や胞子、コケ類、シダ植物、花を咲かせる顕花植物、針葉樹が見つかり、当時一般的
だった硬いソテツ類や球果植物の葉は食べず、柔らかい特定のシダ植物を好んで食べる偏食家で
あったことが判ったそうです。
恐竜の脳は味覚の喜びや満腹の幸福を感じていたのでしょうか。当時の自然の恵みが詰め込まれた
恐竜たちの胃袋は、彼らが見ていた豊かな風景でもあります。絶滅した恐竜は時を経て私たちに
豊かさを提供してくれました。私たち人間は未来に何を残すのでしょうか?
アートディレクター 佐藤寧子
ガラス面や背面のドローイングは、下田氏が現地で直接描きました。
胃袋は今回のための描き下ろしです。
下田昌克 1967年、兵庫県生まれ。絵描き。1994年から2年間、旅先で出会った人々のポート
レイトを色鉛筆で描き始める。2011年よりプライベートワークでハンドメイドの恐竜の被り物を
つくり始める。2018年のメンズコレクションのショーにてコム デ ギャルソン・オム・プリュスに
そのヘッドピースが採用され、パリコレに恐竜が登場した。また、パリにて開催されたOff-White
2021FWのランウェイショーでは下田によるヘッドピースをまとったモデルたちが滑走。
近著に「恐竜人間」(パルコ出版)「恐竜がいた」(スイッチ・パブリッシング)
絵本『死んだかいぞく』(ポプラ社)など。https://www.instagram.com/shimodamasakatsu/